古物営業所の管理者になれるのは誰?

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古物商の営業所には「管理者」を設置しなくてはなりません(古物営業法(以下、法律名は省略)13条1項)。

しかも、「管理者」として適切な者を選ばなければ、許可が取れない可能性もあります(4条7号)。

古物商の許可を取るうえで必須の要件である「管理者」。管理者とは何をする人で、どんな人が管理者になることができ、どんな人が適切なのか、解説していきます。

 管理者は何をする人?

管理者とは「営業所…に係る業務を適正に実施するための責任者」です(13条1項)。

営業所で行う古物の売買等の業務を統括し、従業員等を指導監督して、古物営業関係法令に沿って業務を行わせる責任者です。

ですから、従業員等を指導監督できる地位(支店長など)にあり、法令についての正しい知識(帳簿の記載や本人確認など)を有する者である必要があります。

 

そして、法令の知識とは別に「取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要な…知識、技術又は経験」を持つ者が望ましいです(13条3項参照 1)。

要求される知識や技術は取扱品目によって異なります。本や衣類であれば、さほど特別な能力は要求されないでしょう。しかし、例えば中古自動車の営業であれば、不正品(盗難車)の疑いや改造等の有無、改造の態様・程度を判定するために、通常3年以上中古自動車販売に従事する者が有しているレベルの知識を求められます(古物営業法施行規則14条を参照)。

古物営業法は主に防犯目的の法律ですから、許可制度においては、相場や適正な価格を判断できる能力ではなく、不正品か否か見抜く力や古物の安全性を判断できる能力の有無が大事になるわけです 2

 

もっとも、管理者となるには不適切だと判断される積極的な理由がなければ、不許可になることは少ないと思います。

 管理者になれない人とは?

上記の管理者の要件を踏まえたうえで、管理者になることができない人が法律に規定されています(13条2項)。

 未成年者

20歳未満の未成年者は、法定代理人の同意があったとしても、管理者となることはできません。自身の責任において判断できる知識・能力・技術を有する者でなければならないからです。

 第4条第1号から第5号までのいずれかに該当する者

成年被後見人など、古物商になれない人の要件と同じです。こちらの記事(→古物商許可をもらえない6通りの人(+α))を参考にしてください。

 管理者は営業所1か所につき1人。ただし例外あり。

管理者は営業所ごとに置く必要があります。営業所1か所につき1人ずつ、常勤として管理業務を行うことができる者が必要となります。

同じ市町村内にあるからといって、原則として、複数の営業所の管理者を掛け持ちすることはできません。

 

ただし、例外的に、複数の営業所が近接して、双方の営業所を実質的に統括管理して、管理業務を適正に行うことができる場合には複数営業所の管理者を兼任することも可能です。

同じ敷地内に建物が2つ並んでおり、それぞれ別の古物営業をしている場合(例:古本屋と金券ショップなど)などが想定されますが、個別具体的な事情によって判断は変わりますから、迷われる方はご相談ください。

古物商自身は管理者になれる?

古物営業の許可を取る古物商自身が営業所の管理者になることも可能です(古物商が未成年者である場合を除く)。最低、自分1人いれば大丈夫です。ただし、適切な管理能力があるかが審査の対象となるのは他の者を管理者とする場合と同じです。

 おわりに

営業所において必ず必要となる管理者。

不適切と認められる事情がない限りはほぼ不許可となることはありませんが、だからといって誰でもいいわけではありません。

古物営業法の正しい知識と取扱う古物についての知識・技術を身につけて、適切に運用できるように努めましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます
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【松葉会計・行政書士事務所】
担当行政書士:松葉 紀人

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◆脚注◆

  1. 条文上では、古物商は、管理者に、これらの知識・技術・経験を得させる努力をする義務があるという規定になっています。
  2. もちろん適正価格を見抜く鑑定眼はどの品目についても必要となる大事な能力ですが、古物商の許可制度が問題とすることではありません。市場経済や消費者保護法などの他の法令に任せている部分です。
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