ヤフオク!やフリル、メルカリなどネットオークションやフリマアプリを利用するのに古物商許可は必要なのでしょうか?
結論から言えば、 1回限りではなく繰り返し、
①「転売目的で購入した中古品・新古品」を出品する人
②転売目的で「フリマに出品されている商品」を購入する人
は古物商許可が必要です。
たとえ月100件の取引があっても「自分の物を出品するだけ」「自分で使うために買うだけ」であれば古物商許可は不要です。
許可が必要にも関わらず無許可で取引をすると、最大で3年以下の懲役+100万円以下の罰金の刑罰を科されることがあります 1。
古物商許可とは?
古物商許可は、古物営業をするのに必要な許可です。取引の度に必要なわけではなく、一度取得すれば許可を取消されたり許可証を返さない限りは一生有効な許可です。
「古物営業」とは、古物を売買する営業をいいます 2。
「古物」とは、一度使用された中古品だけでなく、使用のために購入したが未使用のもの(新古品)や、それらに幾分の手入れをしたものを言います。
その古物を購入し売却する、いわば古物の転売をする人は許可が必要となります。ただし、自分で使うために購入した物を売ることは古物営業には当たらず 3、転売目的の取引でも1~2回程度であれば「営業」とは言えないので、許可は不要です 4。
したがって、他の人や店から中古品・新古品を購入してフリマアプリで出品することを繰り返す場合、自分で使うために購入した物であれば許可は不要ですが、最初から出品・転売目的であれば許可が必要です。
同様に、フリマアプリで中古品・新古品を購入する場合も、自分で使うために購入するのであれば許可は不要ですが、出品・転売目的であれば古物商としての仕入行為なので許可が必要となります。
また許可の対象は古物の転売なので、新品の商品の転売をするのに古物商許可はいりません。元々、盗品の転売を防止するための許可制度だからです。
古物商許可の詳細については下記の記事もご参照ください。
なぜ古物商は許可制度なのか、その理由については下記の記事をご参照ください。
誰から、どうやって許可を取る?費用は?
古物商許可は、各都道府県警察を管理する公安委員会から取得します。
試験などは必要なく、犯罪歴などがなければ、申請手続を行うだけで誰でも取得することができます。
申請手続は警察署で行い、申請手数料として1万9千円掛かります。
最低2回は警察署に行く必要があり、許可を得るまでに1カ月以上掛かることをご留意ください。
申請手続の流れについては下記のページをご参照ください。
注意!許可さえ取れば問題ない……とは限らない!
本人確認義務に注意!
古物商が古物の買取りを行う場合には、原則として、法令で決められた方法で買取相手の本人確認をしなければなりません 5。買取物品や金額によって例外はありますが、フリマアプリで取引する場合でも本人確認が必要です。
インターネット取引で本人確認をする方法は下記の記事をご参照ください。
特定商取引法に注意!
古物商がインターネットを通して古物を販売する場合には特定商取引法の販売業者に該当し、その規制を受けることになります。
具体的には、商品販売ページに氏名・住所・電話番号を記載する義務 6が生じたり、クーリングオフの対象 7となったり、事実と全く異なる商品説明文を書くと100万円以下の罰金 8が科されたりします。
古物取引だけでなく、新品商品の転売を繰り返す場合も販売業者に該当し、これらの規制を受けるおそれがあります。十分にご注意ください。
参考:特定商取引法ガイド
フリマアプリの利用規約に注意!
法令上は問題なくても、フリマの利用規約で古物商の利用が禁止されている場合があります。
例えば、メルカリ利用規約(2017年9月25日時点)では「ユーザー(個人及び会社の指定する事業者)間の売買の場・機会を提供するもの」とされており、古物商などの個人事業主や会社の利用は想定されていないように思われます 9。
利用規約で禁止されている場合は、別のサービスを利用するか自分でホームページを立ち上げて取引するようにしましょう。
本サイトでは古物商の許可の取得方法(書類の書き方)を解説しています。
ご自身で許可申請ができることを目標に解説しておりますが、
「書類作成は専門家に任せたい」「時間を営業準備に使いたい」といった方のために、専門の行政書士による許可申請の代行(書類作成のみであれば全国対応)も承っております。
ご相談もお受けしますので、お気軽にお問い合わせください。
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◆脚注◆
- 古物営業法(以下、法令名省略)31条1号。また、36条で懲役と罰金の併科(両方の罰が科される)が規定されています。 ↩
- 2条2項1号 ↩
- 2条2項1号後段で「古物を売却すること…のみを行うもの」は古物営業に当たらないと定義されています。 ↩
- ただし、月1~2回でも繰り返し行うのであれば「営業」に該当し、許可を要することになるでしょう。 ↩
- 15条:確認等及び申告。 ↩
- 特定商取引法11条:通信販売についての広告。 ↩
- 特定商取引法15条の2。但し、クーリングオフが適用されない特約を結ぶこともできます(同但書)。 ↩
- 特定商取引法12条、72条1項3号。この場合は他にも詐欺罪(刑法246条)が成立するおそれもあります。 ↩
- 検索すると業者認定されてアカウント停止されたとの声もありますね。 ↩