5分で分かる古物商の本人確認義務

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古物営業法15条の古物商の本人確認義務をまとめた記事です。詳細については各関連記事で解説しています。

どんなときに本人確認の義務がある?

古物商は、原則として、中古品の買取りや貸し出しをするとき、またそれらの委託を受けるときには身分証のなどで相手方の本人確認をする義務があります。古物を売るときには本人確認をする必要はありません。

 

ただし、例外で本人確認をしなくてもいいケースが2つあります。

買取価格が1万円未満であれば、本人確認は不要

買取価格やレンタル料の総額 1が1万円未満であれば、本人確認は不要です。商品を受け取ったら査定してお金を払えば終わりです。少額の買取品であれば犯罪に利用される危険性が低いことが根拠であると考えられます。

ただし、書籍、CD・DVD・BDなどのメディアディスク、ゲームソフト、オートバイ及びその部品 2については、買取価格に関わらず本人確認の義務があります(例外の例外)。これらの品は買取金額が少額であっても、小遣い稼ぎ目的で万引きや盗難されることが多いからです。

同じ品物を売却した相手から買い取る場合も本人確認は不要

もう一つは、自分が売却した品物を、もう一度その相手から買い受ける場合です。中古品のレンタルや融資で使われることもある手法ですね 3。自分が売ったものを売った相手から買取るのであれば盗品等である疑いはほぼないので、確認義務が免除されているのです。

犯罪収益移転防止法による義務が課される場合も

貴金属商が200万円を超える現金売買をする場合には、さらに犯罪収益移転防止法に基づく本人確認義務も課されます。

犯罪収益移転防止法に基づく義務についてはこちらも参照↓

本人確認って何をするの?

相手の住所・氏名・職業・年齢を確認することで、相手が本人であることに間違いないかを確認します。本人かどうか確認することが目的なので、氏名等をただ見るだけでは義務を果たしたことにはなりません。

確認した事項は帳簿に記載し、保存しておく義務があります。

どうやって本人確認する?

お客と対面して取引するとき

お店やお客の自宅などで対面して買取などを行うときの確認方法は3つあります。

  1. 運転免許証、健康保険証、顔写真付きマイナンバーカード(表面)など身分証明書の提示を受ける 4
  2. 相手方の保護者など身元確認できる者に問い合わせる
  3. 古物商(又は従業員)の目の前でボールペン 5やタブレット等を使って、氏名等の確認事項を書面や画面に記載してもらう

本人であることが間違いないと確認をできるなら、どの方法を選択しても構いませんし、二重三重に確認しても構いません。

お客と対面せず取引するとき

電話やインターネット(自社サイトやネットオークション)を利用して、お客と直接対面せずに買取などを行うときは以下の方法があります。身分証明書のコピーを送ってもらうだけでは違法なので注意してください。

  1. 本人確認書類のコピーをもらい、宅配業者の自宅集荷サービスを利用して古物を送ってもらう
  2. 本人確認書類のコピーをもらい、転送不要扱いで簡易書留などを送り、到達を確認する
  3. 本人限定受取郵便などを送り、その到達を確認する

1・2の方法を用いる場合、買取代金の支払いは本人名義の金融機関の口座に振込む方法で行う必要があります。
非対面取引における確認方法の詳細や他の方法はこちらも参照↓

2018年10月24日から本人確認方法が追加されました↓

2回目以降のお客である場合

以前に本人確認をしたお客であっても、取引ごとに本人確認する義務があります。
ただし、パスワードを利用した簡略な方法を採ることもできます。初めて本人確認を行った際にID・パスワードなどを発行し、本人限定受取郵便など第三者に漏れない形で通知します。2回目以降は氏名・住所等とともにID・パスワードを記入してもらい、古物商の登録情報と照合することで本人確認ができます。
会員証を発行しても、その提示を受けるだけでは本人確認したことにならない点に注意です。

お客が会社などの法人であるとき

買取相手が個人ではなく会社などの法人であっても本人確認の方法は基本的には同じです。取引形態によって複数の方法を採ることができます。

法人の本人確認方法は、法人の登記簿謄本や代表者の身分証明書の提示を受けるだけでなく、現に取引をしている担当者の本人確認もする必要があります。

法人相手の取引であっても、法人の取引担当者の住所、氏名、年齢、職業を確認しなければなりません。(参考:大阪府警察「非対面取引における本人確認の方法」)

怪しいと思ったらどうする?

「買取時の相手方の挙動がおかしい」「申告内容と本人確認書類と合致しない」等の事情により、不正品(盗品など)の疑いがある場合は、買取を中止し、直ちに警察に通報する義務があります(申告義務と言います)。

通報を怠ったことで処罰されるわけではありませんが、申告義務違反なので、営業停止や営業許可取消しの処分を受けるおそれがあります。

なお、盗まれた品物だと分かりながら買取ると、盗品等有償譲受罪が成立し、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金という重い刑罰を受けることになってしまいます。

怪しいと思ったら毅然とした態度で臨む必要があります。

本人確認義務に違反したら?

本人確認の義務を怠った場合には、営業停止になったり、営業許可を取消されることがあります(古物営業法24条)。

さらに、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(あるいはその両方)の刑罰を科されるおそれもあります(同33条1号、36条)。

義務違反をしないよう正しい知識を持ち、適切な手続ができる業務体制を整備することが必要です。

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◆脚注◆

  1. 一品ずつの価格ではなく合計額で判断します。
  2. オートバイは、自動二輪車・原動機付自転車を指します。部品はフレームやハンドル、エンジンなどが該当し、ネジやボルト、コードなどの汎用部品は除きます。
  3. 例えば、お金を貸す代わりに品物を買取り、買取価格+利息分のお金を払えば品物を返すという買戻し特約付き売買契約があります。
  4. コピーを取る必要はありませんが、証拠として残しておくために売主の承諾を得てコピーを保存することもできます。ただし、マイナンバーのコピーは禁止されています。
  5. 鉛筆や消せるボールペンではダメです。
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